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東京高等裁判所 平成12年(ネ)3119号 判決 2000年10月31日

控訴人 A

控訴人 株式会社壁の穴

代表者代表取締役 B

控訴人 壁の穴フーズ株式会社

代表者代表取締役 A

三名訴訟代理人弁護士 朝香寛

同 鈴木善和

同 寒河江孝允

被控訴人 株式会社壁の穴

代表者代表取締役 C

訴訟代理人弁護士 丹羽一彦

同 田中克幸

同 北谷典香

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二事案の概要

事案の概要は、次のとおり付加するほか、原判決の事実「第二 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する。なお、当裁判所も、「D」、「パスタの専門店壁の穴」、「控訴人A」、「控訴人壁の穴」、「控訴人壁の穴フーズ」の用語を、原判決の用法に従って用いる。 一 当審における控訴人らの主張の要点

1  Dは、昭和五三年四月一二日に「パスタの専門店壁の穴」を設立したものの、個人営業である「壁の穴」の廃止はしておらず、これをそのまま昭和五六年まで継続した。したがって、Dの個人営業である「壁の穴」の営業は、「パスタの専門店壁の穴」に譲渡されていない。そして、Dは、昭和五六年一月二六日に廃業届を行って、右「壁の穴」の営業を廃止したから、右「壁の穴」の商号も、営業表示も、これとともに消滅した。これが被控訴人に承継されることはあり得ない。

2  昭和五二年ころ、控訴人壁の穴フーズ及び控訴人Aは、控訴人壁の穴フーズがDに五四〇万円を支払って、同人から、「壁の穴」の名称、サービスマークなどの標章、その他の営業表示を(もし商号権があるなら、商号を使用する権利、商号登記する権利もこれに含めることにして、これらすべてを)買い取る契約をした。Dは、同時期、同様に、千葉、埼玉、神奈川、長野、札幌、東京、大阪などの各所で、「壁の穴」の名称、標章、その他の営業表示の使用を許諾しており、被控訴人も同様の許諾を得た者の一人であるにすぎない。

Dと控訴人らとの関係は、フランチャイズ契約に基づくものではない。のれん分けと表現するのが最も適切な関係である。仮に、Dと控訴人らとの関係がフランチャイズ契約に基づくものであったとしても、これにより、Dは、営業表示の使用を許諾したことになるのである。

3  「パスタの専門店壁の穴」と「壁の穴」は商号として非類似である。したがって、Dが「壁の穴」の商号や標章その他の営業表示を、異なる称呼の法人「パスタの専門店壁の穴」に譲渡したとは認められない。また、「パスタの専門店壁の穴」から被控訴人に渋谷店(本店)及び原宿店の営業譲渡が行われたという昭和五六年二月二七日には、被控訴人の商号は「大阪壁の穴」であるから、これまた、「壁の穴」の商号や標章その他の営業表示を譲り受けたとは認められない。

4  原判決においてなされた、「壁の穴」が、遅くとも昭和五一年ころには東京都周辺においてDの営業表示として一般消費者に広く認識されていたとの認定に関する客観的証拠は、昭和三九年から昭和五二年までの間のわずか三本の寸時のテレビ放映と、発行部数が極めて小さい特種な読者向けの出版物一点だけである。このことだけで、一般消費者に広く認識されていたと認定することはできない。

第三当裁判所の判断

当裁判所も、被控訴人の本訴請求は、いずれも理由があると判断する。その理由は、次のとおり訂正・付加するほか、原判決の理由と同じであるから、これを引用する。

一  原判決の訂正

四〇頁三行目の「右営業を」の次に、「、昭和五六年二月二七日までの間に」を加える。

二  当審における控訴人らの主張に対する判断

1  控訴人らは、Dが、個人営業である「壁の穴」の営業を昭和五六年まで継続したとして、これを根拠に、Dの個人営業である「壁の穴」の営業は、「パスタの専門店壁の穴」に譲渡されていないと主張する。

しかし、証拠(甲二四、六六)によれば、「パスタの専門店壁の穴」は、Dが設立して大株主兼代表取締役となって支配していた会社であることが認められるから、Dから同社への営業譲渡が、Dの意思一つで、その契約時期及び履行時期を適宜に設定することができたものであることは、容易に推認することができるところである(営業譲渡は、法人設立と同時になされなければならないものではなく、また、契約と同時に履行されなければならないものでもない。)。そして、証拠(甲二五)によれば、昭和五六年二月二七日の時点では、「壁の穴」の商標を使用する権利及び「壁の穴フランチャイズ・システム」を展開する権利は、Dから「パスタの専門店壁の穴」に移転されていたことが認められる。

したがって、Dが、昭和五三年四月一二日に「パスタの専門店壁の穴」を設立した後、直ちに個人営業である「壁の穴」を廃止していないとしても、そのことは、Dが、個人営業である「壁の穴」の営業を「パスタの専門店壁の穴」に法人成りさせたとの認定に反するものではない。

乙第三八号証の1には、D名義の渋谷区<以下略>の「壁の穴」店につき、昭和五六年一月二六日に「法人設立、編入の為」との理由により廃業した旨の記載があるが、仮に、これが真正に成立したものであるとしても、それは、Dから「パスタの専門店壁の穴」に対する右「壁の穴」店の営業譲渡の履行時期が、右同日であったことを示すものにすぎないから、右記載は、前記認定に反するものではない。

また、乙第三八号証の2には、D名義の渋谷区<以下略>の「壁の穴」店につき、「法人設立、編入のため」との理由により廃業した旨の記載があるが、仮に、これが真正に成立したものであるとしても、同証は廃業年月日の記載すらないものであるから、何ら前記認定に反するものではない(仮に、この廃業年月日について、乙第三八号証の1と同じ日である昭和五六年一月二六日との記載が省略されているだけであると考えたとしても、乙第三八号証の1の場合と同様、やはり前記認定に反するものではない。)。

2  控訴人らは、昭和五二年ころ、控訴人壁の穴フーズ及び控訴人Aは、控訴人壁の穴フーズがDに五四〇万円を支払って、同人から、「壁の穴」の名称、サービスマークなどの標章、その他の営業表示を(もし商号権があるなら、商号を使用する権利、商号登記する権利もこれに含めることにして、これらすべてを)買い取る契約をしたと主張する。

しかし、これを認めるに足りる証拠はない。

(一) 証拠(乙九、一〇)によれば、控訴人壁の穴フーズが、昭和五二年ころDに五四〇万円を支払って締結した契約は、Dが同社の店舗である「チボリ」に対して、「料理技術指導、営業接客技術指導、宣伝方法指導、従業員教育指導」をするというものにすぎないものと認められる。

(二) もっとも、「宣伝方法指導」が、右「チボリ」において、「壁の穴」の文字ないしこれを含む何らかの名称を、何らかの形で使用することを許諾する趣旨を含むことは、容易に推認することができるところである。しかし、このような許諾が、直ちに、Dはもとより、他人が「壁の穴」の名称を使用ないし登記することを妨げる権利を付与する趣旨であるとは、認めることができない。すなわち、使用を許諾することと、他人の使用を妨げる権利を与えることは、全く別の事柄であって、このことは、例えば、ある商標について通常使用権を許諾された者が、必ずしも、その通常使用権に基づいて他人が同一商標を使用することを差し止めることができるものとは解されないことを考えれば、明らかである。

(三) 一方、会社の商号は、必ず登記しなければならず(商法五七条、一八八条)、しかも、その登記は、営業所ごとにしなければならず(商業登記法二八条)、これが登記された場合は、同市町村内において、同一商号及びこれと紛らわしい類似の商号は、同一の営業のためにこれを登記することができない(商法一九条、大審院大正五年一一月二九日決定・民録二二輯二三二九頁)。そうすると、ある会社が、会社の商号として、「株式会社壁の穴」等「壁の穴」の文字を含む商号を選択した場合には、その本店のみならず、先に営業所が設けられた市町村内においては、「株式会社壁の穴」ないしこれに類似する商号の会社を設立することができなくなり、右会社は、実質的に排他性を有する権利を得ることになる。個人の商人が商号として、「壁の穴」の文字ないしこれを含む商号を登記した場合も、同様である。

(四) 通常、個人の商人の事業規模が大きくなった場合に、会社を設立してこれにその営業を譲渡する、いわゆる法人成りすること、あるいは、法人が子会社等の別法人を設立して、地域割りによる営業をすることなどは、よく見受けられることである。そして、Dの営業として「壁の穴」が周知となっていたことは後述のとおりである以上、その営業を法人成りするに当たって、「壁の穴」ないしこれと類似する商号を選択しようとするのは、ごく自然なことである。また、仮に法人成りしない場合であっても、事業規模が拡大した場合に、他の市町村にDの個人営業として「壁の穴」の店舗を新たに設けることは、当然予想されるところである。

ところが、「壁の穴」の文字ないしこれを含む商号を、ある市町村で他人に登記された場合、Dや同人が法人成りした会社の「壁の穴」ないしこれと類似する商号は、右他人の登記と同一又は類似するものとなってしまい、その市町村内で、個人営業としては登記できず、法人としては設立できなくなる可能性が高いことは明らかである。乙第九号証に係る契約により、Dが、このような事態を承諾したものと解することは、到底できない。

ちなみに、乙第四八号証の1は、その表題が「弁明書(案)」というものであり、Dが、同証をDの真意として外部に提出してよいとしたものか否かは定かではないものの、そこには、Dの言葉として、「私は『壁の穴』の創業者として店舗の継続と『壁の穴』の使用に不利益を受けない限り、A氏の商標登録出願に異議を挟む意思はなく、」との記載があり、Dも、他の者に『壁の穴』の文字を含む名称の使用を許諾し得るのは、Dの事業の妨げとならない限度に限られるとの意思を有していたことをうかがうことができる。

(五) もっとも、Dによる右許諾があったか否かは、「『壁の穴』の文字を含む商号」というような抽象的な形で把握された商号一般についてではなく、具体的な特定の商号について、その使用、あるいは登記の許諾を与えたか否かを具体的に検討すべきものであるから、個々の商号については、何らかの事情(例えば、Dと特殊な人的関係があるとか、特定地域に限定して他に支店を設けない等の条件が付されているとか、「壁の穴」の文字は含むもののDの「壁の穴」が法人化した場合に想定される名称とは類似しない名称であるとか、等の事情)があるために、許諾されたと解される場合もあるものと思われる。例えば、甲第五四号証によれば、昭和五三年ころ、Dは「株式会社大阪壁の穴」(被控訴人)の「会長」と称されていた(甲第二四号証、乙第三五号証によれば、Dは、現在被控訴人の「取締役会長」であることが認められるが、右は、昭和五三年ころのDの「会長」の地位が現在と同様のものであったという事実を認定するものではない。)ことが認められ、この事実に「株式会社大阪壁の穴」という名称が、当時東京都渋谷区を本拠としていたDの営業の主要な部分ではないことを示唆する名称であるという事実を加えて総合すれば、Dは、同社について、その商号「株式会社大阪壁の穴」を使用し、登記することを許諾していたことを認めることができる。そして、甲第六六号証によれば、Dが「壁の穴」の文字ないしこれを含む名称の使用を許諾した者が何人もあることが認められ、これらの者のうちには、サービスマークの使用のみが許諾された者だけではなく、右「株式会社大阪壁の穴」のように、特定の商号について登記を許諾された者があるかもしれない(なお、乙第三四号証によれば、昭和五二年二月一九日以降東京都杉並区にも「株式会社壁の穴」という会社が存在した(現在は解散ずみ。)ことが認められるけれども、右法人の商号について、Dが認識したうえで許諾していたと認めるに足りる証拠はなく、右許諾の有無は不明である。)。

しかし、控訴人らについては、Dが、「株式会社壁の穴」、「壁の穴フーズ株式会社」という商号の使用や登記を許諾したと認めるに足りる証拠はないのである。

(六) かえって、証拠(甲二〇、五四、五五、六六)によれば、昭和五三年ころ、Dは「壁の穴」のフランチャイジーを募集していたこと、その条件は、「看板使用料」も含めた保証金が五六〇万円であったこと、昭和五一年六月ころ、津金求が、Dのフランチャイジーとして、東京都新宿区内に「壁の穴」の名称を使用するスパゲティ専門店を出店していたことが認められる。

右事実を前提として検討すると、まず、Dが、これらのフランチャイジーすべてに、一般的に「壁の穴」の文字を含む名称の会社設立や商号登記を許諾していたとは認め難い。なぜなら、そのような商号の登記が多数の市町村に存在したのでは、Dの営業である「壁の穴」の拡大が妨げられることは明らかであるのみならず、フランチャイジー同士が類似商号の会社となって一社だけしか登記できないとか、最初にフランチャイジーとなった会社にのみ商号選択が許され、新たなフランチャイジーとなる会社の商号選択は妨げられるとかの不公平を生み、フランチャイジー事業拡大の妨げとなることも、また、明らかであるから、そのような許諾が一般にされていたとは認め難いのである。そして、控訴人壁の穴フーズが支払った金額が、これらのフランチャイジーが支払うべき右「看板使用料」に比べて多いとはいえないこと、及び、控訴人壁の穴フーズの本店と同一区内に既に「壁の穴」の文字を含む営業表示を使用するフランチャイジーが存在していたことに、「株式会社壁の穴」、「壁の穴フーズ株式会社」という商号が、あたかもDの営業の主要な部分であることを示唆するような名称であることを加えて総合的に検討すれば、むしろ、Dは、控訴人らに対し、「株式会社壁の穴」、「壁の穴フーズ株式会社」という商号の使用や登記を許諾していなかったことが推認されるというべきである。

(七) 控訴人らは、控訴人らとDの関係が、フランチャイズ契約に基づくものではなく、のれん分けであると主張する。しかし、Dが、控訴人らに対し、「株式会社壁の穴」、「壁の穴フーズ株式会社」という商号の使用や登記を許諾したとは認められないことは、前示のとおりであり、このことは、右関係が「フランチャイズ」契約に基づくものであるか、「のれん分け」であるかにかかわりなく、いえることである。

乙第四八号証の1には、Dの言葉として、控訴人Aに「『壁の穴』の店舗名の使用」を許諾した趣旨の記載があるが、店舗名として使用することと、商号として登記することや、会社の商号として使用して登記することとが異なることは明らかであるから、右記載は、右認定の妨げとなるものではない。

3  控訴人らは、<1>「パスタの専門店壁の穴」と「壁の穴」は商号として非類似であるから、Dが「壁の穴」の商号や標章その他の営業表示を「パスタの専門店壁の穴」に譲渡したとは認められない、<2>「パスタの専門店壁の穴」から被控訴人に営業譲渡が行われた昭和五六年二月二七日には、被控訴人の商号は「大阪壁の穴」であるから、同様に「壁の穴」の商号や標章その他の営業表示を「パスタの専門店壁の穴」から譲渡されたとは認められないと主張する。

しかし、営業表示とは、サービスマークや商号の略称を含め、人の営業を表示するものであって、商号と同一のものを使用しなければならない筋合いのものではない。すなわち、「株式会社パスタの専門店壁の穴」や「株式会社大阪壁の穴」という商号の会社が、商号ではない営業表示として、「壁の穴」の文字や「かべのあな」の称呼を使用することは、なんら差し支えのないものである。控訴人らの主張は、失当である。

4  証拠(甲二〇、三六の1、2、三七ないし五六)によれば、原判決理由の第二の一2(一)(1)ないし(3)の事実のほか、昭和四五年ころから昭和五三年ころにかけて、「装苑」、「主婦と生活」、「主婦の友」、「ウーマン」、「アンアン」等を含む多数の雑誌や図書に、東京都渋谷区<以下略>の「壁の穴」の名前、そのスパゲティや作り方等が紹介され、昭和五〇年には、右「壁の穴」の人気を知った東京証券取引所一部上場企業の商社が「壁の穴」をスパゲティ専門店チェーンとして全国に展開することを検討しているほどであったことが認められ、これらの事実によれば、「壁の穴」の営業表示が、遅くとも昭和五一年ころには、少なくとも東京都周辺において、スパゲティ専門店を経営するDの営業表示として一般消費者の間に広く認識されていたことを、優に認めることができる。

5  なお、甲第一七、第二六号証、乙第四三、第四四号証の記載によれば、Dは、昭和五六年ころ、所有していた店舗のうち、松屋店、吉祥寺店及び銀座博品館店を、被控訴人とは別の者に譲渡したことが認められるものの、同時に、右各店舗の譲受人は、Dや「パスタの専門店壁の穴」と無関係の地位に立ったわけではなく、右譲受けと同時に、「パスタの専門店壁の穴」のフランチャイジーとなったことも認められる(乙第四四号証は、全容が不明確であるが、乙第四三号証同様「壁の穴フランチャイジーとしての保証金参百万円」の文字が判読でき、乙第四三号証による契約と同様の契約と考えられる。)。また、他に、そのころDが所有していた店舗であって、営業譲渡されてDないし「パスタの専門店壁の穴」と無関係となったものがあることもうかがえない。結局のところ、右各譲渡の事実も、「パスタの専門店壁の穴」の営業が、「壁の穴フランチャイズ」として、「壁の穴」の営業表示を使用したまま継続され、これが平成八年に至って被控訴人に譲渡されたことと何ら矛盾するものではないということができる。

6  なお、また、乙第四七号証には、「パスタの専門店壁の穴」についてDが保有する株式が、昭和五六年二月三日ころまでに富士銀行に担保として差し入れられており、同日以降はEに譲渡され、同年八月三一日には再びDに譲渡されたことをうかがわせる記載がある。そうすると、「パスタの専門店壁の穴」から被控訴人に対し、渋谷区<以下略>の本店及び原宿店が譲渡された昭和五六年二月二七日は、Eが「パスタの専門店壁の穴」の大株主であったことになる。しかし、右昭和五六年二月二七日は、営業譲渡契約の日であって、同日に株主総会が開かれなければならないものではないから、仮に、「パスタの専門店壁の穴」において、右営業譲渡に関する株主総会にEが参加していないとしても、そのことは、右営業譲渡に瑕疵があることを推認させるものではない。なお、証拠(甲二五)によれば、Eが右営業譲渡を承諾していたことは明らかというべきである。また、株式の担保権者に、株主総会で議決権があるという筋合いのものではないから、富士銀行が「パスタの専門店壁の穴」の右営業譲渡について、株主総会で決議しなければならない理由はない。

これらの事実も、前記の認定を左右するに足りるものではない。

第四結論

以上のとおり、原判決は相当であって、本件控訴はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条、六五条、六七条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山下和明 裁判官 山田知司 裁判官 阿部正幸)

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